後期高齢者の医療費を転出前の県が負担する理由

私の両親は後期高齢者である。
昨年A県から転出し私の住むB県へ転入して来た。
持ち家を売り払い介護付きの住宅型老人ホームに入ったのである。
老後に備えて子や孫のそばで暮らしたいとの決断だった。
自宅を売り払って転出したのだから後期高齢者医療保険の保険証も新しい転入先のB県のものになると思っていたが、しかし今の制度ではそうはならないのである。
この場合両親とも前に住んでいた町の住所地特例者扱いとなり保険証はA県のままなのだ。
保険料を前住んでいたA県に納め医療費の給付もA県から受けている。
両親の心情としては年齢的にも骨を埋めるつもりで家を売り払い新たな土地に来たつもりなのに、何故他県の保険証のままなのか理解に苦しむとのこと。
事務的にも複雑かつ時間がかかる。
将来介護認定が必要となった時には旧市からの委託で現市での認定審査となるのだそうだ。
また毎年の確定賦課の根拠となる所得は旧市から現市に照会しなければならない。
住民基本台帳に異動があってもすぐには旧市で把握できず年金の引落しが出来なくなって始めて更正が行われ、この事務の遅れにより還付事務も発生する。
こういう事に時間を費やさねばならない理由は何なのだろうか。
これは転入後の自治体の医療費の負担を軽くする為の特例なのだそうだ。
施設に入所して来た者の医療費は入所前にいた自治体が負担することで、施設を多く抱える自治体の負担が過大にならないようにするための措置だとのこと。
住所地特例は被保険者の為にあるのではなく自治体の医療費負担を調整するためにあるのは分かったが、そもそも施設の少ない地方の自治体の医療費こそ負担を軽くすべきではなかろうか。

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